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忘れがちな日々

楽しそうな波には自ら呑まれにいく

「怒り」を見てきました、という話(ネタバレあり

あんまり映画を見ることなく過ごしてきていたのですが、なぜか今年は何本か映画を見ています。一度映画館行くと、予告編でこれ次に見るぞというエンドレス映画館通いになる…というやつです。「怒り」は東宝系、「シン・ゴジラ」を二回見ましたから、予告編を二回見たわけです。

「怒り」は予告編以外にも、妻夫木聡綾野剛ゲイカップルの話題、そういうシーンがあるぞとか共同生活をしたぞというインタビューとかで事前に腐女子界隈クラスタで盛り上がっていたのもあって、下世話方面でもなんだか見てみたい映画だな、とは思ってはいました。

 

以下、思いついたままに書くので、ネタバレします。原作がある映画なのでネタバレもくそもないとは思うけども、原作者さんが脚本を読んで「驚いた」と仰っているインタビューもあるし、公開三日目で書く文章としては配慮すべきなのかもしれないんだけど、感想というのは見てすぐ書いておかないとこぼれるように忘れていってしまうということを、「シン・ゴジラ」も「HiGH&LOW THE MOVIEも二回見てしまったわたしは1回目直後の衝撃を思い出せずに困っているわけで、「怒り」に関しては、書いておくことにする、ってエンドロール見ながら思ったので。

 

喜怒哀楽の「怒」、誰に対しての「怒り」なのか。どういう時にその感情が出てくるのか。それは「信頼」に関係するんだろうな、ということが見終わった直後の感想でした。

軽いあらすじを書くと、まず八王子の一軒家で夫婦惨殺事件があり、一年経っても犯人は捕まらず、テレビで特番組まれてしまうような世界というのがすべての話の下地になっています。東京、千葉、沖縄にそれまでの行動が見えない、素性の知れない別々の男が現れて、その土地のひとたちと交流を持って生活していくうちに、その男が殺人犯に似ているのではという疑問を持ってしまってから、少しずつ、でも音を立てて派手に状況が動いていくという流れ。東京、千葉、沖縄の男、誰か一人は本当に犯人なんだけど、あとの二人は、ただ、似ているだけの赤の他人で、犯人がさっくり捕まっていたら、そもそも殺人なんてなければ、というタラレバと思ってしまう、赤の他人。

 

見ず知らずの他人と関わることでの信頼できるのか、否かが、様々な方向から、様々な条件で描かれていて、意図したダブルスタンダード、無意識なダブルスタンダードもあって、感情の矢印が大量に描かれている映画。

 

わたしが一番わかりやすく感じたのが、東京のゲイカップルの話。

ハッテン場で出会った住所不定の綾野剛演じる直人を「行くとこないならうちに来れば」って誘うパリピ要素あるサラリーマン、妻夫木聡演じる優馬、最初は夜だけ一緒に部屋で過ごすんだけど、体調悪いって言う直人に「昼間もこの部屋に居れば」って言う。その時に「もしこの部屋のものを持ち逃げしたら、ゲイってばれるの怖くないし俺はお前を警察に突き出すぞ」って言う。対して直人は「信頼してくれてありがとう」って言う。

話がすすんで、優馬のお母さんが亡くなった後に、直人に「悪いことをしたな、葬式に来るな、って言ったの、親戚や同級生くるのに、どうお前を説明したらいいかわからなくて」って言う。直人は「説明してもわからないひとにはわからないんだよ。そういうもんだよ」って言う。

無意識なダブルスタンダードなんだろうか、否か。単純なわたしは見終わってすぐは、自分が被害者になる時だったらバレるのも怖くないとか言えてしまうのかな、って思ってたんだけど、いまこれを書きながら、出会ってすぐだったから?とか思い始めて、数行前に「一番わかりやすく感じたのが」と書いたのを悔やみ始めた感じ。

直人が部屋から姿を消して、しばらくして、八王子の事件を調べている最中に警察署から電話があって、直人を知っているかと尋ねられて知らないって答えながら、部屋から直人の痕跡を消そうとしたときの優馬の、感情の矢印はどうだったのか。そのあと、全てを知った時は、どういう感情がどういう矢印だったのか。

優馬が今後じぶんを責めすぎないといいな、と心配になっています。

 

千葉の話は、実はいまいち飲み込めなくて、というか、じぶんに芯がないとまわりに影響されて、いちばん大事な信頼ですら揺らいじゃうのかなと思ったり、宮﨑あおい演じる愛子がちょっと足りない子に見えるからなのかなと思ったりして、感情移入しきれない話でした。結局、愛子の元には愛した男は戻ってくるし、今後の暮らしが腫れ物に触るようなものにならないといいな、と思いました。

 

沖縄の男に関しては、考えるの面倒くさくなってきたな。というおおざっぱな感想だけ書いておく。

すごすぎて。話の内容が。酷すぎて。あらすじネタバレに関わってくるとは思うけど、これトラウマあるひとに向けて注意喚起されるべき内容。

演技に関しては沖縄の男はもちろんすごいんだけど、両親がやっている民宿で働いている酒癖の悪い辰哉という青年が。すごかった。怪演。

 

一本の映画で三つの話が同時進行するという、感情の動きにも三倍曝されて、ぐったりするという映画。

最初は、各登場人物の感情の矢印を全部書き起こしておこうと思ったんだけど、千葉の話は途中で理解することを放棄してたし、沖縄の話は理解できたかもしれないけど忘れてしまいたいというか面倒くさくなってきたし、結局三匹の兎は追いきれなかった。

 

最後に。「彼」の遺骨を探して一緒にお墓に入る、という未来はあるのかどうか。